労働安全衛生法と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?

機械で大怪我? 足場から落下? 熱中症で倒れる? ヘルメット? 安全靴?
確かに、労働安全衛生法が生まれた背景からすると、そういうイメージかもしれない。
労働安全衛生法=労災防止?
戦後の1947年に労働基準法が制定された。その中に安全・衛生の規定が置かれた。
そして高度経済成長期、産業災害が重大な社会問題となるなかで、安全衛生分野を独立・強化するため、1972年に労働安全衛生法が成立した。
この法律の功績は大きい。
労働安全衛生法は、危険防止基準を定め、事業者の責任を明確にし、安全管理者、衛生管理者、産業医、安全衛生委員会などの管理体制を組み立てた。
職域における死亡災害は長期的に、大幅減少した。この背景に、労働安全衛生法や安全管理者、衛生管理者の活躍があったことは疑いがなかろう。
労働安全衛生法=定期健康診断
健康診断と聞いて、何を思い浮かべるだろう?

検診車? 総務? 病院? 尿検査? 視力検査? コレステロール? γGTP?

健康診断と聞いて、すぐに「労働安全衛生法」を思い浮かべるひとは少ないかもしれない。
でも、実際、「健康診断」の義務を定めているのが 労働安全衛生法なのだ。
ほら。
(健康診断)
第六十六条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。(一部省略)5 労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。(後段省略)
また、健康診断項目を定めているのが ”労働安全衛生法施行規則”だ。
ほら。
(定期健康診断)
第四十四条 事業者は、常時使用する労働者に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
四 胸部エックス線検査及び喀痰かくたん検査
五 血圧の測定
六 貧血検査
七 肝機能検査
八 血中脂質検査
九 血糖検査
十 尿検査
十一 心電図検査
このように、健康診断の基本は労働安全衛生法が定めているのだ。
労働安全衛生法の構造は以下となっている。
第七章あたりだ。
昨今、ヒトの健康データを計測する機器が増えてきている。定期健康診断のような、「年一回」の血圧計などではなく、日々の生体データを自ら確認できるテクノロジーが増えている。
労働安全衛生法は、今後、どれだけデジタルテクノロジーを取り入れてゆくだろうか?
労働安全衛生法は、今後、どれだけ職域における「予防」「未病」に貢献できるだろう?
当セクションでは今後、「労働安全衛生法」を「職域ヘルスケア=企業だからこそできる予防の機会創出」という面に着目してゆく予定である。
主な資料
- 厚生労働省「労働基準に関する法制度」
- 厚生労働省「労働安全衛生法の施行について」
- 東京労働局「安全管理者、衛生管理者、産業医のあらまし」
- 厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
- 厚生労働省「令和7年の労働災害発生状況」
- 厚生労働省「令和7年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況」
- 厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」
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